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小イワシの群れ

(75×56)

小イワシの群れ 2002.4
昔の人は一枚の布を作り出すのにどれだけの労力を使われたのだろうか。
綿を育て、糸にし、染めて織る。
私の姑も備前絣を農作業の合間に織っていたという。
それだけに布に対しての思いが強かったのだと思う。
布は着物として着た後、寝間着になり、布団風呂敷、座布団と縫い返された。
僅かな裂でもなにかに役立つとされ、大切に使われた。
そんなぼろ裂に出会うと胸があつくなる。

絵のバックにしてある上の三枚の布は、男物の古い着物を解いたときに、
襟の中からでてきたもの。
長い時に耐え、すっかり色もあせているが、なんとも美しい色合いになっていた。
下の藍色の布は布団風呂敷にしてあったもの。
裏返すと擦り切れたり、穴の開いているところにそれぞれの藍染めの布が継ぎ当てされていた。その色のコントラストも美しい。
それで、そのまま子イワシのバックにしてみた。
私が小さい頃は、町中にも元気なおばさんが、子イワシを売りにきていた。
『七回洗うと鯛の味になる』そういって母がお刺身にしてくれものだ。
あのおばさんたちはみかけなくなったれど、いまでも広島の味となっている。
私の大好きなお魚だ。

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